明石市における
自転車イケズの悪あがき許さんで
自転車イケズをナクスンジャー
明石市は，東経135度日本標準時子午線が通るだけやのうて，本州と淡路島との海峡や世界三大文学のひとつ「源氏物語」の一帖から，その名をとった街として知られとぅ。実はこの明石市では，兵庫県下はもちろん，西日本でも屈指の自転車敵対・蔑視行政が行われてきたんや。
概況
明石市は，神戸市の西側に隣接し，交通・産業各面において深い結びつきを持っとぅ。両市の間はJR山陽本線・山陽電鉄が，国道2号線をも交えつつ瀬戸内海岸ねきを東西に並行して走っとって，これが交通の中心となっとぅ。また，東西に長い明石市西部には，新幹線との接続駅・西明石駅もあるんや。市東部では海岸ねきまで山が迫っとぅトコもようけあって，自転車利用に便利わるいトコもあるけど，平地が比較的南北に幅広い西部では，相対的に自転車利用に便利ようてニーズが高いトコも多いといえまひょ。
こないな自転車利用のニーズと明石市わいの自転車“対策”の間には，相関関係が成立する部分もあればそやないトコもあるんや。相関関係が成立せん部分ちうんは，別の行動原理があるちうことや。その際たるもんは，自転車“対策”の利権化や。阪神間の他の市とくらべ，鉄道駅附近の駐輪場に異様にコストがかけられとることの一点を見ただけでも明らかやろ。
前市長・岡田進裕愚政のもとで
こないな世界でも例を見いひん異常な自転車“対策”は，環境重視の現下の趨勢に反するだけやのうて，長らく行政わいの利権追求の具とされてきたもんやし，自転車および利用者の地位低下をもたらし，さらには市民の主体的意識の覚醒を阻むゆう，犯罪性を持ったもんやちゅわないかん。
こないな犯罪的愚策に手を染めたんは，大蔵海岸での花火大会における朝霧駅歩道橋圧死事故(2001年夏)で全国にその悪名を轟かせながら，2003年になってやっと引責辞任しよった市長・岡田進裕[のぶひろ]やった。この人物は，日本各地の自治体で，自転車“対策”をエスカレートさせてきよった「全国自転車問題自治体連絡協議会」とかヌカす組織の役員を，発足当時から市長辞職にいたるまで10年余りにわたって続けてきよったんや。
子どもだましの自転車イジメ
そないな積年の悪弊が市民の意識をも規定してんことは明らかや。だけやのうて，さらにそれを拡大再生産したろおもていう看過でけへん事態が，今まさに起こっとる。
JR西明石駅前 (2005.4.8)
西明石は，在来線と新幹線の駅が駅前広場を挟んで並行しておまして，跨線橋でもつながれとぅ。東海道〜山陽本線の新快速停車駅で，普通の多くが折り返すとこで，東播地域の乗換駅としても重要な存在や。駅前駐輪場は，明石市としては珍しゅう，必要以上にコストを嵩ませへんオーソドックスなもんや。「毎日新聞」はこないなとこに「放置自転車約５０００台」やらちうデマ報道をぬかしよった。
「迷惑駐輪ナクスンジャー」!?
2005年2月5日，かかる珍ケッタイなもんが一部で報道されたちうわけや。神戸新聞 明石版記事「迷惑駐輪ナクスンジャー 西明石駅前に５人組」によると「ＪＲ西明石駅周辺の自転車迷惑駐輪排除を訴え、地域ヒーロー「迷惑駐輪・ナクスンジャー」が登場し、西明石南町商店街（西明石南町一、二）やらで活動中だ。神戸学院大の学生や地元ダンス教室の子どもたちも協力。五日午後一時から同駅東口南側の西明石交番前付近で、「迷惑駐輪ゼロのまち」を呼び掛ける。」やらちうことや。
この名称からしてふざけたもんやけど，ふざけとるんはその行動自体と前提となる認識やといわねなならへん。
一方的・排他的認識と独善的「勧善懲悪」
同商店街と自治会でつくる「西明石南町活性化委員会」が，「駅前の同商店街は駐輪場以外に止める自転車が後を絶たず、緊急車両や歩行者の妨げになっている」とか，「高齢者や障害者も安心して歩くことができる街に」するやらヌカして，学生らに着ぐるみを着せ，自転車および利用者に敵対する尖兵にしたろゆうんや。
もっともこないなもんが，「緊急車両や歩行者の妨げ」なるもんが事実無根の憶測によるもんでしかあらへんことや，「高齢者や障害者」をだしにしての不安煽動やちうことはいうまでもあらへん。また，毎日新聞記事「雑記帳：「迷惑駐輪ナクスンジャー」登場」にある「同駅周辺の放置自転車約５０００台」ゆうもんが誇張であることはいうまでもあらへん。ワイが思うにはは同紙記者が現場を実際に取材してへんか，一方的情報を鵜呑みにしたかの，なんぼなんでもひとつ以上やろうといわなならへん。およそマスコミの中には，行政わいによる反“放置”自転車キャンペーンの提灯持ちに成り下がり，「大本営発表」的記事を垂れ流すトコも少なないけど，こないな記事は，それに慣らされ，問題意識や疑問の一片すら持ち合わせんようになりよったことの証左やろう。
なあんもこないな偏向記事によって初めて情況が歪曲されるんとちゃう。「西明石南町活性化委員会」なるもんの認識が一方的・排他的なもんなんやし，それがジャーナリストとしての基本姿勢を忘れた者の手によって流布されとるんや。
そもそも駐輪ちう事象が，自転車利用ニーズの一環であるとともに，自転車利用者の合目的的行動の所産であるちう，当然踏まえなあかん認識を欠落させたトコから出発してん。しかも自転車利用者は，自らと同じ地域に暮らす住民やし，同じ権利と尊厳を持った市民や。局所的場面で対立感情や，自らと異(ちご)とる存在への嫌悪感を行動規準とし，一方的・盲目的に排除するっちうことは，良識ある市民のとったらあかん行動や。
しかもかかる一方的・排他的感情を正当化するために，自転車および利用者を「悪」とみたてん一方，自らを「善」であると思てこませようとしてんのや。まさに独善以外のなあんものでもあらへん。こないして，何らの合理的根拠もあらへんにも関わらず持ち込まれた，善悪観念を具現し物質化するためにとった手段が，何十年も前に放映された子ども向けテレビ番組のキャラクターのパロディーを利用するっちうことや。この種のテレビ番組は，正義の味方とされる主人公が，無条件の前提で悪とされた怪獣等を倒すゆうおきまりのもんで，勧善懲悪的ストーリー構成をとりながらも，善悪の根拠や価値規準に対する判断力を奪うとともに，暴力と破壊を正当化するもんにほかなりまへん。
こないな選択された手段に，このたびの自転車排除行動の担い手の意識水準と問題性が端的に示されとるちゅわなならへん。子どもだましもええトコや。
社会認識を「ナクスンジャー」
たとい子どもといえども，自らの芸術がどないな存在に奉仕するんか，またできるんか，させられよるんかについての認識を持たなあかん。
いやしくも最高学府の学生たる者が，かくも社会認識を欠如させ，所与の前提の枠内に，自らの思考・行動を押しとどめようとするんはどないなもんかちうような批判は，10年前の阪神淡路大震災に際したかて，全国各地から馳せ参じたヴォランティアのなかに，その名の如き自主性・主体性を没却し，ただ行政わいの補完物・下請的存在となり，危機管理を錦の御旗とした上からの組織化を下支えするような者があったことに対してなされてきたが，この問題を今まさに改めて提起せなならへん。
ほんでここでいわれとぅ「商店街と自治会」がまるっきし自主的にこないなもんをやっとるんやのうて，その背後にあるもんについても思いを致さなあかんことも，忘れてはならへん。
こないな妄動に盲従し甘んじることは，まさに主体的市民として覚醒する芽を摘み取って，まさに自らの社会認識を「ナクスンジャー」といわなならへん。
愚政の弊を払拭し主体的市民の街へ
全国各地で見られよる，活性化に失敗しよった商店街の商店主による自転車への八つ当たりの域を超えた，この事態がはらむ問題を，政治的背景をも踏まえて明らかにして，このたびの明石市における自転車イケズの悪あがきを糾弾するとともに，ずぅぇんぶの明石市民が，これまでの否定的情況から訣別し，ずぅえんぶの都市住民と環境に優しい街をつくりやし，それを担うわ，多様性を内包し涵養する主体的市民へと，自らを飛躍させる第一歩を，力つよ踏み出すことを願ってやまへん。
参考
「「全国自転車問題自治体連絡協議会」をつぶせ」
（世界に類例を見へん愚劣な日本の自転車“対策”の元兇「全国自転車問題自治体連絡協議会」の犯罪性・欺瞞性についてはこっちを参照たってや。）
「迷惑駐輪ナクスンジャー 西明石駅前に５人組」 神戸新聞 明石版 2005/02/05
「雑記帳：「迷惑駐輪ナクスンジャー」登場」 毎日新聞 2005/02/05
