尼崎市・西宮市・芦屋市における実例

兵庫県東南部にある尼崎市・西宮市・芦屋市などの市では,早くから自転車および利用者の立場や権利を無視した“対策”に血道を上げてきた。阪神淡路大震災においていずれも被災地となったこれらの市におけるその猖獗ぶりは,被災者となった市民への対応と高い相関関係にあることが解る。

尼崎市

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西宮市

西宮市当局は,「全国自転車問題自治体連絡協議会」(自称「全自連」,ここでは「協議会」と略す)発起時,市長八木末次(当時)が副会長をつとめるなど,早くから自転車“対策”に血道を上げてきた。阪神・淡路大震災後2年半近くの間は,「“放置”自転車」の「撤去」という愚策に手を染めることはほとんどなかったが,やがて「駐輪場の整備」,「駐輪マナーの指導・啓発と駐輪場への誘導」,「放置自転車の移動撤去」を3本柱とした「“放置”自転車」対策に血道を上げるようになり,2002年には無報酬の「ボランティア」を動員し,自転車敵対政策の尖兵たらしめる「駐輪マナー地域推進委員」制度を創設するという策動を進めるにいたった(この問題性と意味については「西宮市による自転車敵対政策強行を許すな」を参照)。


大手スーパー前にて(左),再開発用地(右)

阪急西宮北口駅南西にて。街を行き,駐輪されている自転車は,千客万来と街の復興の証である。市内には,震災後もとの地に戻れない人が依然としている一方で再開発の強行もとまらず,その矛盾がこうした景観によって顕在化されている。


無人化されたJR西ノ宮駅北口有料駐輪場(左),JR西ノ宮駅南口の駐輪風景(右)

屋根などもなく,最小限の費用で建設した駐輪場を,自動化することで管理の人件費等も削減しようという,自転車利用者からの収奪がもっとも進んだもの。JR西ノ宮駅南口附近は西宮市当局が自転車敵視政策の刃を振り下ろしている場所の一つ。

芦屋市

芦屋市といえば,阪神間屈指の高級住宅地がある街,全国初の女性市長が誕生した市などとして知られている。だがその下で,高額所得者−高額納税者ではない庶民,とりわけ弱者に冷酷な,時には差別的政策が広範な方面で行われてきた。このことは,阪神淡路大震災の被災地の中で,芦屋市当局がもっとも被災者に冷淡かつ過酷な対応をとったことに端的に示されている。こうしたことは,環境政策や自転車“対策”においても例外ではなく,「“放置”自転車」の返還費用が西日本最高額であることからも,その一端がうかがえよう。


まだ住民が残る仮設住宅の解体現場(1997.3.10, 芦屋市精道中校庭)

再三市当局に退去を要求され,住民も3月末での退去を呑まされた。ところが期限前に工事が始まった。手前はまだ住んでいるが,隣までは,内装・窓枠等が取外されている。この時,残る3世帯のうち,5月まで家が建たないのと行先未定が1世帯ずつあった。

(2004.2.17)


附記

西宮市が「駐輪マナー地域推進委員」制度を導入し,無報酬の「ボランティア」を自転車敵対政策の尖兵たらしめていることの問題性と意味については「西宮市による自転車敵対政策強行を許すな」を参照されたい。

「全国自転車問題自治体連絡協議会」を解体せよ」・
日本地方自治体の自転車“対策”と「全国自転車問題自治体連絡協議会」
世界に類例を見ない愚劣な日本の自転車“対策”の元兇「全国自転車問題自治体連絡協議会」の犯罪性・欺瞞性についてはこちらを参照されたい。

放置自転車、海を渡る/西宮・芦屋 」(2003/5/21『朝日新聞MYTOWN 兵庫

Super Link 関西駐輪場情報」(都市交通問題調査会