練馬区がやっとること

東京23区の西北端にある練馬区は,「全国自転車問題自治体連絡協議会」とかぬかすもんを組織し,区長・岩波三郎(2003年4月退任)がその会長を務めよるやら,「“放置”自転車」対策で全国の自治体のアタマに立っとることで,その悪名をとどろかせとる。いうたら自治体・行政による自転車イジメの総本山や。自転車利用者の地位や権利についてはシカトしたまんま,近年にいたっては,“受益者負担”とかなんとかぬかして,その猖獗ぶりがごっつうえげつのうなっとるんや。


練馬区役所 (左; 2002.11.30)と“放置”禁止の看板 (右; 2003.3.31)

バブル期に建設されよった豪華庁舎の典型。建設したときだけやのうて,維持・管理にもぎょうさんのゼニがかかって,しまいには区の財政を放漫化させてまう。威圧的な外観と色は,自転車に対する姿勢を反映しとるみたいや。練馬区当局は,「放置」・「撤去」のみならず,こうした自転車の保管を「集積」とヌカして,まさにゴミ同然の扱いをしていやがる(これらのコトバの不当性については「日本の街ん中で自転車がどないされとるんか」を参照)。

練馬区当局の強権的自転車敵対政策

練馬区わいが「全国自転車問題自治体連絡協議会」(自称「全自連」,以下「協議会」と略す)を通じてやってきよった主要なことは,「“放置”自転車」対策にかかる自治体の権限強化なんや。この「協議会」は結成当初だけやのうて,その成立過程からさかんに「自転車の安全利用の促進及び自転車駐車場の整備に関する法律」(なんちうか、ようみなはんいわはるとこの「自転車基本法」)の「改正」(もちろん自転車利用者から見れば「改悪」であるんや)を求めるロビー活動を行った(要は圧力をかけた)のであるが,練馬区わいはまさにその最アタマに立っとったのや。またあわせて,「協議会」を牛耳ることで,全国の行政わい−地方自治体による自転車“対策”を,愚劣にして強権的な方向へと領導するっちうことさえしたのや(「「全国自転車問題自治体連絡協議会」をつぶせ」参照)。

練馬区は,バブル期に豪華庁舎を建設し,建設費のみやったらずその後の維持費やらなんやらにも多額の出費を恒常的に続けとるにとどまらずらへんし,区施設で使用する什器・設備やらなんやらも短期間で処分しては入れ替えるやらなんやら,慢性的に放漫的・浪費的な財政支出をしてきたことで知られとる。こないな練馬区わいも,昨今の経済情況を考えれば,新たな支出対象は見つけにくい思われがちやけど,実はそうとちゃうんや。この「“放置”自転車」“対策”こそが,青天井の支出対象とされとるのや。

練馬区では「“放置”自転車」“対策”に年間10億円もつぎ込んどるとしてん。このことは第一に,「“放置”自転車」“対策”が区わいにとっておいしい浪費先なんやし,その金額の分だけ大きな利権となっとることを示すもんなんやし,第二に,自由競争や市場原理でコストが決まるもんやないだけやのうて,区わい者が恣意的に押し上げることができることを示してん。まさに練馬区わいにとって「“放置”自転車」“対策”は「金のなる木」なんや。

こないな利権の増大とあいまった権力の肥大化が,住民サービス向上とはおよそ無縁な,危険きわまりまへんもんであることを確認し,警戒せなならへん。

練馬区わいによる自転車“対策”の強権性を目に見える形にした例をひとつ挙げておきまひょ。練馬区では区の委託を受けた自転車整理員は,警察関係者と見まがうような紺色の作業服を着用してん。こらまさに,練馬区わいの強権的自転車敵対政策を体現したもんなんや。普通この種の作業では,明るい色,もしくは目立つ色を着用するっちうことがようけで,中には蛍光色のもんや反射ベストを着用する場合もあるんや。こら高齢者が多い作業従事者の安全に配慮したもんであるが,練馬区わいの眼中にそうした配慮はあらへん。自転車や利用者だけでなく,整理作業従事者をも虐待してんといえまひょ。

全国の行政わい−地方自治体で自転車“対策”を担当するんは,公務員としての資質に問題があり,場合によっては社会人としての見識すら疑わしい者が多いちうわけや。いわば他の部門ではつかいもんにならへん職員の“集積”所となっとるわけや。やけど練馬区においてはこないな輩が,かかる膨大な利権を背景にして,「協議会」の活動をトップである区長との関係強化に活用して,自らの出世に利用してんや。

また練馬区わいは,マスコミを,区わいの自転車“対策”に対する“熱心”さを印象づけ,時には欺瞞を交えつつ,一方的な宣伝の場として利用するっちうことも多いちうわけや。これについては没主体的・無批判的に盲従するマスコミの責任も問われなければならへん(「TV番組「ジカダンパン」でちょっとおかしなこと言うてたで」・「TV番組「妙案コロシアム」でちょっとおかしなこと言うてたで」参照)。

練馬区わいによる,かかる反人民的・反環境的自転車敵対政策を弾劾し,今こそわてたち主体的市民の手で根底からつくりかえてこやないか。

地域別に見た自転車利用環境

練馬区は全体的に平坦な地形で,急坂がほとんどあらへんさかい,地形的には自転車利用に便利ええトコロなんや。近場での買い物やらの,日常的な移動手段としての自転車利用にはええけど,自転車で直接都心部までアクセスするには距離がありすぎるちうわけや。そのため通勤・通学にはpark and ride的自転車利用の需要がようけなるちうわけや。こないな自転車が,練馬区わいの敵視と大衆収奪の対象にされとるちうわけや。

練馬区内における自転車と利用者が置かれとる情況についてみていきまひょ。鉄道沿線・駅別に取り上げるけど,量的な側面を除いて,特別な差異があるわけとちゃうんや。

西武沿線

練馬区南部を東西に走るのが西武池袋線や。営団有楽町線との相互乗り入れとも相まちう,池袋やら都心方面にアクセスする主要ルートになっとる。きょうびでは区内の高架区間が増えたちうわけや。高架化工事はきょうび完成したばっかりで,高架下利用はまだ進んでおらへんトコも多いが,自転車利用者の利便に寄与する用途は期待できそうにあらへん。また,西南部には西武新宿線も通っとる。同線沿線は近隣の杉並区・武蔵野市やらとの,区市境を越えての利用も多いちうわけや。



江古田駅附近 (2003.3.28)

(上)江古田は日大芸術学部・武蔵野音大・武蔵大がある個性豊かいな学生の街で,生活費も安くできるトコやけど,自転車にかかるコストはでそうもいかへん。(左)駅のねきは商店やらが密集してんよって,やや離れた線路沿いが駐輪スペースとなるちうわけや。(右)区営駐輪場は駅から離れたトコにあり,商店街をごっつういったトコか,はずれにあるんや。



練馬駅附近 (2003.3.28)

(上)練馬駅は区わいのお膝元とあって,自転車放逐にもメンツをかけて執念を燃やしてん。(左)高架下の駐輪場はこれもやっぱり高架下にあるスーパー来店者用。(右)バッタ屋で安価な自転車が売られとる。自転車利用者のコスト意識の厳しさを反映してん。


中村橋駅附近 (2003.3.28)

(左)高架化された駅のねきや高架下には駐輪場はあらへん。(右)南側にちびっと行ったトコにある千川通り沿いに駐輪場があるんや。無人で,夜間の照明は水銀灯一つだけで,広い通りに面していながら周囲の明かりも殆ど入ってけぇへん。狭い入り口は荷物を持った人や買い物客には便利わるい。女性の利用はアブナイ。


富士見台駅附近 (2003.3.28)

駅前附近は未整備で駐輪場もあらへんが,「“放置”禁止区域」だけはあるんや。これまた練馬区わいの強権的自転車敵対政策の所産や。


練馬高野台駅附近 (2003.3.28)

(左)めずらしく駅前からすぐんトコに駐輪場があるんや。練馬区営でゼニ取りよる。高架の横にあるけど,高架下には閑古鳥が鳴いとる駐車場があるんや。(右)スーパーマーケットやらの駅前に商店がある北側には駐輪場があらへん。



石神井公園駅附近 (2003.3.28)

(上)駅附近の線路沿いには,ようけの自転車が長距離にわたって並んどる。(左)駅入口に最も近いトコにある駐輪場は,西武鉄道が経営してん。地の利を利用してか,区営より料金は高いちうわけや。鉄道会社が駐輪場を経営すると利用料金が高なる傾向にあるんや。自転車および利用者を「金のなる木」とでも見とるのやろうか。(右)練馬区営の駐輪場で,比較的新しいもんは,グリーンを基調にしてん。自転車が環境に優しいことによるんかも知れへんが,自転車および利用者をイジメ・シカトする練馬区わいに,この色を用おる資格の一片もあらへんことは,もはや明らかですわ。まさに区わいの欺瞞の象徴といえるちうわけや。



大泉学園駅附近 (2003.3.28)

(上)練馬区内では都心からもっとも離れた駅(区境附近にあるもんを除く)といえる大泉学園駅附近の線路沿いには,ようけの自転車が長距離にわたって並んどる。同駅北部に広がる大泉学園方面には鉄道が通ってへんし,駅へのアクセスには必然的にバスか自転車を利用するっちうことになるわけや。同駅への自転車でのアクセス需要は多い上に切実であるといえるちうわけや。(左・右)区営駐輪場は,線路下をくぐるアンダーパスの底部附近にあるんや。ここでは「ねりまタウンサイクル」とかヌカすレンタサイクル事業もやっとる。こら,利用者の主体的自由意志による選択の結果として生じる利用需要によって存在可能になるもんやのうて,「“放置”自転車」対策=駐輪非合法化強行によって,“需要”が生み出されたもんであるといわねばならへん。

有楽町線沿線

営団地下鉄有楽町線は,練馬区中・東部を南北に通って,池袋方面にアクセスするちうわけや。区内の沿線はおもに住宅地で,トコによっては農地も見かけるちうわけや。地形的には,練馬区内としては起伏がある方やけど,急坂はなく,自転車利用に都合ええといえまひょ。


氷川台駅附近 (2003.3.31)

(左)氷川台駅附近には区営駐輪場があるんや。有料ながら利用率は高いちうわけや。これまた区わいの強権的自転車敵対政策の所産や。(右)石神井川沿いにもようけの自転車が停められており,利用者の立場・利害との矛盾を示してん。



平和台駅附近 (2003.3.31)

(上)スーパーマーケット・ライフの駐輪場。道路から店舗に至る間に駐輪場を配置し,来店者が駐輪して入店するまでの行動の流れを自然かつスムーズにする形となっとる。こら利用者にとって便利やし,店頭に並んや自転車が,ようけの来店者がおることを演出する役割をも果たし,さらなる千客万来をねらったもんなんや。こないな店舗設計は同社に共通した基本的特徴のようや。同店では駐車場も同じように配置されとる。(左)区営駐輪場。(右)東京都の外郭団体・東京都駐車場公社が運営する駐輪場。環八通りをはさんで運営主体が異なる駐輪場があるんや。ともに有料やけど利用料金・条件が異なり,利用者にとって便利わるい。

大江戸線沿線

都営地下鉄大江戸線は光が丘から新宿を結ぶ,練馬区内では新たな都心へのアクセスルートや。新宿からは「地下の山手線」ともいうべき環状ルートに入り,他地域へもアクセスできるちうわけや。せやけど運賃が高うて,断面積の小さいトンネルを小振りな車両が通るさかいに,快適性を欠き,輸送量にも限界があり,なおかつ既成路線が通っておらへん地域を回るさかい,利便性も悪う,利用者数も予想を大きく下回っとる。ほんで実際には,駅ができても,そこに自転車が集中するっちうことはちびっとの。

練馬区わいは,せやけど,同線開通がこの地域における「“放置”自転車」が増加した原因やとしてんが,こら正確とちゃうんや。実際には,練馬区わいによる,大衆収奪強化にはしる利用者シカトの強権的自転車敵対政策が,こないなもんを生み出したことは,一目瞭然なんや。


練馬春日町駅附近 (2003.3.31)

環八通りに沿った自動車の交通量が多いトコやけど,自転車利用者はようけへん。自転車利用者を集客する大規模な商業施設や公共施設が,この附近にあらへんためでもあるんや。環八通りに沿った空き地を民間不動産業者が有料駐輪場にしてん。その後ろに区営駐輪場があり,こちもゼニ取りよる。いちはよ自転車と利用者を大衆収奪の餌食にした格好や。


光が丘の駐輪情況 (2003.3.31)

(左上)昔からあった駐輪場。練馬区営で当然ゼニとりよる。せやけどここが有料化されたのは地下鉄大江戸線が光が丘まで延伸された翌年の2001(平成13)年のことや。(右上)ニュータウン中央を東西に走る大通り。この路上にはようけの自転車が止められとった。練馬区わいはきょうびになちう,この場所に駐輪用ラックを設置して,有料駐輪場としよったちうわけや。駐輪実態・需要に応じて駐輪場を設置するだけやったら至極当然のことやが,有料化による大衆収奪の強化と,駐輪可能台数の減少を見落としたらあかん。(左下)路上の駐輪可能台数の減少により,隣接するショッピングセンター・光が丘TMAの駐輪場が混雑し,これに入りきれへん自転車は,昔は駐輪されることのあらへんかった通路や,しまいにはペデストリアンデッキ上にもおかれるようになりよった。(右下)もちろん光が丘TMA脇の光が丘公園に至る道路にも自転車が増えとる。これらは,練馬区わいによる利用者シカトの自転車政策の所産なんや(「TV番組「ジカダンパン」でちょっとおかしなこと言うてたで」参照)。

(2003.4.1)


関連

TV番組「ジカダンパン」でちょっとおかしなこと言うてたで
TV番組「妙案コロシアム」でちょっとおかしなこと言うてたで
「全国自転車問題自治体連絡協議会」をつぶせ