豊島区が「放置自転車等対策税」
導入しようとしよったん許さんで
自転車敵視政策と反人民的課税権の濫用
今まででも東京都豊島区は，地理的・経済的中心となりよる池袋をはじめとする地域での「“放置”自転車」を口実にして，自転車利用者の立場を顧みんと，自転車を都市景観から抹殺するっちうことをめざした自転車敵視政策をしてきやがって，さらにそれを土木利権追求の機会に利用しよって，大衆収奪の強化でその財源を確保するゆう愚策を続けてきやがったことについてはもう，「豊島区がしやがること」で明らかにしてきたちうわけや。また，こないな愚策をしやがるくせに自転車利用の「モデル都市」を名乗るゆう，欺瞞的態度をとってきよったことについてもすでに，「ＴＶ番組「金曜フォーラム」でちょっとおかしなこと言うてたで」で述べとおりですわ。
また，2000年に地方税法が改正されて，地方自治体独自の課税が認められて以来，課税権の濫用ちうほかいあらへん反人民的新税・珍税の導入が，全国各地で画策されてきたちうわけや。すなわちうちのサイトでもいちはよ弾劾した，荒川区の自転車税・杉並区のレジ袋税やらなんやらがそれですわ。やけどこれらを凌駕する，反人民的かつバカげた課税策動が，豊島区わいによって画策されとることが明らかになりよった。すなわち，「放置自転車等対策税」と「ワンルームマンション税」や。両税が反人民的愚民的課税権の濫用であることを明らかにして，こないな課税策動を弾劾するちうわけや。
「放置自転車等対策税」
「放置自転車等対策税」なるもんは，鉄道事業者に対して，区内の駅周辺に駐輪された「“放置”自転車」を「撤去」した場合だけやのうて，区営駐輪場に定期登録した自転車にも１台あたり3000円を課税するゆうもんで，年間２億円以上の税収を目論んどる。こないな課税の理由として，自転車利用者からはすでに「撤去」費用１台あたり3000円を徴収してんこと，自転車の「撤去」だけでなくその保管場所や駐輪場の維持・運営にも費用がかかること，鉄道事業者に駐輪場等を設置する努力義務が法令及び条例で定められとることやらなんやらをあげとる（「放置」・「撤去」やらなんやらのコトバの不当性については「日本の街ん中で自転車がどないされとるんか」を参照）。
鉄道事業者は一斉に反発し，23日のうちにJR東日本・営団地下鉄・東武鉄道・西武鉄道の４社は，共同記者会見で，これまでも「“放置”自転車」対策で“協力”してきたことや，同税が憲法で保障してん私的財産権の侵害にあたる恐れがあるちうて，区側の一方的な姿勢を批判して，同区に撤回を求める申し入れ書を提出した（他に課税対象に該当する鉄道事業者に都営地下鉄三田線・都電荒川線を運営する東京都交通局があるんや。翌24日には石原慎太郎・東京都知事が課税への当惑を表明した）。
これには，「「“放置”自転車」対策が目的」いう名目で，鉄道事業者が独自に駐輪場を設置したり，用地を区やらに提供したりした場合には非課税にするやらなんやらとのガス抜きがされとるが，これが区側の恣意的な判断で，なんぼでも勝手に解釈できるもんやちうことは，説明するまでもあらへんやろ。区側の恣意性についてはまた，「“放置”自転車」対策の“錦の御旗”としてクローズアップしてん「池袋＝「“放置”自転車」日本一」なるもんの虚構性・政治性を再確認するっちうことも必要やろう。新税導入でマスコミの注目を集めるのを利用して，区わいはこないな虚構をもっかい持ち出して，反「“放置”自転車」キャンペーンの機会とし，自転車及び利用者にたいするフレームアップを強行したろおもておるもんやいうことを，ハッキリと見抜いたらなあかん。
豊島区わいが「“放置”自転車」の「対策」にかかるとしてんコストなるもんについては，あくなき利権創出のため，ためにする不必要な「“放置”自転車」の「撤去」や，建設のみやったらずその後の維持管理にも，わざと費用と人員が嵩むように駐輪場を建設・設定してきやがったもんやちうことは，すでに述べたちうわけや。他の自治体や民間企業やったら，同様の情況で，大概は数割から数百分の一，場合によっては数千分の一のコストで済ませよるやろうことは，他の地域と見比べてみれば一目瞭然や。これについて何らの反省もなされておらへんばっかりか，駐輪場の利用料も高水準に設定され，「撤去」した「“放置”自転車」の返還に要求される費用も全国最高額の3000円と，大衆収奪のアタマを走っとる。さらにその矛先を鉄道事業者に向けたのがこの新税やけど，これも結局は利用者に転嫁されるもんである以上，別な形での大衆収奪の強化なんや。こないな風に経済面から検討したら，怒りを通り超えて呆れるほかいないちうわけや。
一方鉄道事業者は，大手・中小を問わず全国的に，長期的な利用者漸減傾向で運賃収入が伸び悩み，関連事業からの収入増も期待でけへんなかで，安全維持やらなんやらの点からコスト削減が困難であることに苦しむトコロがようけで，上述の５事業者もまた例外とちゃうんや。こないななかで，鉄道事業者への負担転嫁が強行された場合，運賃等の料金に転嫁されることはもちろん，さらなるコスト削減のため，利便性やサービスが低下するだけでなく，安全性が犠牲にされることも不可避なんや。さもなくばこの税収見込額は，各事業者の経営を圧迫するに十分な金額なんや。まして，豊島区に追従して同様の課税を行う自治体が現れｙったら，各地で鉄道事業者の経営圧迫と，利用者・住民への負担転嫁が深刻な問題になってまうやろ。
従来，新線建設や高架化・地下化・複々線化やらのために当該・近隣区間の運賃上乗せは行われとるが，この場合長期的には利用者に還元されるとの建前があるんや。そやかて，同様の方法で課税分の運賃転嫁を正当化するこはでけへん。もし運賃への転嫁をしよったら区内通過もしくは発着時に異常な高額の料金が設定されることとなってまうし，転嫁する区間を拡大したら，利用者自身に何らの利益還元のなされへん無用の支出が，いっそう広範囲に強要されることになるにすぎへん。また，鉄道事業者に駐輪場設置を求めたら，結果として有料駐輪場が増加し，自転車利用者の新たな負担増に結びつきよることが，私鉄沿線では珍しないんですわ。
鉄道事業者はまた，他地域では通常行われとる，自治体・警察・道路管理者・鉄道事業者から構成される「“放置”自転車」の「対策」のための協議会が，豊島区では行われてへんし，一方的に課税が通知されたともいうてますねん。こないな区わいの抜き打ち的なやり方が，鉄道事業者にとって度し難いもんやちうことはいうまでもあらへん。やけどそれ以上に，こないな協議会がどないなもんでも，肝腎の自転車利用者の声を聞かんと，その立場と存在を一顧だにせへんと，あまっさえ自転車と利用者を「対策」の対象と位置づけること自体が，犯罪的であるといわねばならへん。こないな自転車利用者シカトの姿勢こそ，弾劾せななりまへん。これこそが自転車利用者の地位を向上させ，都市住民のみなはんと環境に優しい街をめざす第一歩なんや。
豊島区がしやがる「放置自転車等対策税」導入策動を弾劾するとともに，自転車利用者の立場を無視した反動的・反人民的自転車政策そのものを，今こそ粉砕したろやないか。
「ワンルームマンション税」
「放置自転車等対策税」とともに導入が画策されとる，なんちうか、ようみなはんいわはるとこのワンルームマンション１戸あたり50万円を建築主から徴収するゆう「ワンルームマンション税」についても，愚民的課税権の濫用ちう点では共通してん。建築主からとるいうても，結局は購入者・賃借者に転嫁される大衆収奪に他ならんし，定額ちうことで逆進税になることも，皆さんわかってくれますやろ。やけどそれ以上に，これを通じて実現したろ思とるトコの，区わい者の意図に用心せなならへん。 豊島区長・高野之夫がヌカすには「地域コミュニティーの衰退を招く単身者の増加を抑え」るゆうのが「ワンルームマンション税」の目的や。もっともここでいう「地域コミュニティー」なるもんは，同区で生まれ育った高野が，かつて過ごしたやろうトコへのノスタルジアの対象でしかのうて，現実にさまざまな市民が多様な生活や生産活動をしとる空間のことやおまへんことは，ほとんどの豊島区民が直きにわかるこっちゃ。
また，56%にのぼるゆう区内単身世帯は，学生・独身サラリーマンだけでなく，独居老人やらなんやらの高齢者，地方からの出稼ぎ者，外国人やらなんやらも含まれ，都市住民としての多様性を構成するうえで不可欠なファクターとなっとる。この高野の妄言は，こないな単身世帯の実態をシカト・歪曲したもんであるといえるちうわけや。こらまた，家族世帯が豊島区に居住困難である理由を分析・理解でけへんことと表裏一体や。イデオロギー的側面からいうたら「あるべき家族」像の押しつけや。こないな風に，特定の世帯を排除・優遇するっちうことは，住民の差別・選別ちう反動的・反人民的愚行やちうだけやのうて，市民の多様性を失わせるもんやちう否定的意味を忘れてはならへん。
「放置自転車等対策税」が，豊島区わいによる利用者シカト・自転車敵視政策と，土木利権の追及を強行するための財源を企業・人民に転嫁するもんなんやし，いっしょに暴露された，住民差別・選別を企んどる「ワンルームマンション税」とともに，その愚民的課税権の濫用と反動性・反人民性をハッキリさせて，かかる策動を弾劾するちうわけや。
(2002.1.23-24)
豊島区当局の独善と暴走
豊島区わいが“新税構想”に関して陸続とやらかしとる，独善的・反人民的愚行についてみていきまひょ。
豊島区では“新税構想”を公表して以来，「法定外税検討会議」に加えて，「あなたと区長のホットほっと区民集会」なるもんを開催し，新税強行への地ならしをたくらんどる。
豊島区の“新税構想”を報じる地元紙『豊島新聞』 (2002.1.28)
「法定外税検討会議」
区わいの関連部署の責任者・担当者に外部の専門家を加えて組織された「法定外税検討会議」は，その名称自体と，事務局が税務課に置かれとることに示されるように，課税実現を目標とする区わいの態度が鮮明や。年来の厳しい財政状況から新たな財源を求める中，「“放置”自転車」と単身世帯をいわば“公敵”とするっちうことで出路を見いだそうとしたんや。こら“新税”による収益からの支出対象をかかる対策にようわかるように限定しておらへんことや，ファミリー世帯定着のための具体的政策やらが示されへんばっかりか，議論すらされた形跡があらへんことやらからも見て取れるちうわけや。どないな立場にせよ，この「会議」が政策論議の場やないことは確かや。
「法定外税検討会議」は，「放置自転車等対策税」・「ワンルームマンション税」それぞれに部会が組織されとるが，区わいの関係者はほとんど兼任や。前者に関していうたら，外部からのメンバーは，経済学・土木工学を専攻する学識経験者や，「全国自転車問題自治体連絡協議会」関係者やらといった区行政わいの代弁者によって，ほとんどが占められとる。ここからも依然として「“放置”自転車」を，土木利権追求に利用し続けようゆう，区わいの姿勢が読みてとれるちうわけや。当然のことながら自転車利用者の立場なんて一顧だにされてへん。もっともこないな「検討会議」のメンバーに自転車利用者を名乗る者がおったトコロで，そらかかる立場を詐称する区わいの傀儡にすぎへんけど。
「あなたと区長のホットほっと区民集会」
「検討会議」とあわせて，豊島区わいは「あなたと区長のホットほっと区民集会」なるもんを開催してん。こら区長室を開放して直接対話の場をつくるといった類のもんでは決しておまへん。「放置自転車等対策税」・「ワンルームマンション税」おのおのについて１月おきになされており，区わい担当者による一方的説明と，それに対する翼賛的内容の質疑応答に終始するお手盛り集会なんや。
なんぼなんでも文書・ホームページで公開されとる限り，その問答いうたら，およそ自転車利用者の立場や具体的次元における実態を反映したもんとちゃうんや。自転車に敵対的な問答も，具体的現実性を伴わへんし，抽象的次元の感情論に終始したもんがほとんどや。ここにやってくる“区民”ちうんは，自らの日常生活に自転車を利用せん者，自らの日常的生活空間圏内に異なる他者の存在を示す自転車を知覚するっちうことに嫌悪感を抱く者がほとんどちうことになりまひょ。もっともこないな場で自転車利用者の立場に立った発言があったとしたかて，議事録に残されて公開されることはあらへんやろ。
以前，杉並区長・山田宏がレジ袋税条例を強行した際，付託した区議会の委員会が導入に慎重やったため，審議対象を異にする別の委員会に付託替えをするゆう，独裁的・議会軽視の妄動をしやがった。これを教訓化したやろう豊島区長・高野之夫と区行政わいの者は，こないなお手盛りの会合で課税策動を既成事実化し，区議会をして翼賛機関へとおとしめることを模索してんといわなならへん。こないな風に課税策動を強行しつつある区わいの姿勢は，まさに独善と暴走ちう言葉を抜きにして語られへん，危険きわまらへんもんなんや。
メトロポリタンプラザの駐輪場 (2002.9.25), 池袋西口地下駐輪場の上 (2001.2.20)
池袋駅を通る電車内から見える駐輪場がこれや。メトロポリタンプラザは，池袋駅西口の南寄りにおまして，東武百貨店や専門店からなるショッピング街の上にオフィスフロアをあわせもつ。そのさらに南側のびっくりガードに至る線路沿いの場所に駐輪場をもっとる。一時利用100円，月極1000円と，利用料金が公営駐輪場より安い上に，メトロポリタンプラザで1000円以上の買い物をしたら当日の利用はタダになるちうわけや。もっとも東武東上線の入り口には近いが，営団地下鉄丸の内線・西武新宿線には遠い。売上げと客単価の増加及び顧客の囲い込みをねらったもんやろ。豊島区による「放置自転車等対策税」導入策動は，自転車利用者の立場をシカト・抹殺するだけやのうて，こないな商店・鉄道事業者の営業努力をも蹂躙するもんなんや。
豊島区でも一部の駐輪場で短時間の利用をタダにしてんけど，こっちは商店の売上げには寄与してへん。それだけやのうてこれが，利用形態の異なる自転車利用者を分断するゆう，政治的意図によるもんやちうことを見逃してはならへん。
池袋駅西口から徒歩数分もかかりよる，公園の地下を有料駐輪場にしよった。駅前から離れてるさかいに利用が不便で，利用者が少ないことをマスコミに取り上げれれたことがある。せやけど，その問題の本質はそれやのうて，区当局による土木利権の追求，大衆収奪及び都市景観からの自転車の抹殺ちゅう，自転車敵視政策にあるんやで。
駐輪“調査”の“実態”
さらに豊島区わいは，夏季をはさんで自転車駐輪の“実態”について“調査”をしよったちうわけや。こら，課税権の濫用ちう恫喝で，鉄道事業者を自らの土俵に引きずり込む一方で，「“放置”自転車」の利用者がどんだけ鉄道を利用してんかを示すことで，彼らの不満を封じ込めるのが，直接の意図とされてきたちうわけや。やけどこの“調査”の問題はこれにとどまるもんでは決してあらへん。
マスコミ報道によると，区わいは失業者を“調査”員とするっちうことで失業対策ともするゆう。こら失業者をして，同じ人民であるトコの自転車利用者と環境に敵対する尖兵たらしめることで，彼らの尊厳を奪うことを意味するちうわけや。労働が単に収入を得る手段であるだけやのうて，自己実現と社会貢献を伴うことで，労働者の尊厳は自他に見いだされ確認されるもんなんや。また区わいでは，駐輪する自転車利用者の後を追いかけて“調査”したろおもていう意見も出よったけど，ストーカーと間違われるやらとしてやめたゆう。結果としてこないな破廉恥な愚策こそ採らへんかったもんの，こないな意見が出ること自体異常やといわなならへん。こないなトコにも，自転車を敵視し，自転車利用者の存在をシカトし人格を蹂躙した，豊島区わいの者の意識の一端が現れとる。
かくして“調査”員に，駐輪されとる自転車に，料金受取人払いんはがきからなる“調査”票をくくりつけさせ，これを受託会社に回収・集計させるゆう形になりよった。こないな方法自体もけったいなもんやけど，この受託会社いうたら，利用者の利便性や維持・管理のコストは二の次にして，ぎょうさんの建設費をつぎ込むことを第一とするような施設を造り出しては，これらを自らの“業績”として誇示するもんなんや。「“放置”自転車」の「対策」を土木利権の追求の機会としたい豊島区わいにとっては，まさに絶好のパートナーや。
「撤去」した「“放置”自転車」の返還費用に「放置自転車等対策税」を加えれば，1台あたり6000円ちう異常な高額が確保できることになり，その使途を開拓するっちうこともあわせて画策されとるのなんや。こら通常の自治体がかける平均的な費用の1.5〜2倍なんや。
豊島区による“調査”票
この「アンケート」と称する“調査”票の質問項目が，区わいの意図を反映した誘導尋問であることやら，もはや説明の必要はあらへんやろう。しかも従来でさえ高額の駐輪費用をしゃあないもんであるかのごとく思いこませるに至っては噴飯もんや。こないな愚策に自転車利用者の眼を釘付けにするっちうこと自体犯罪的なもんなんやし，もはやマインド・コントロールの域に達してん。欧米先進国では，地球環境に対する問題意識の高まりから，公共の場所での駐輪費用はタダが常識なんやし，市民の自転車利用に対する意識も好意的で高うなっとる。こないな世界的趨勢から目をそむけさせることは，愚民化政策の一環でもあるんや。
(2002.10.29)
豊島区当局の独善と暴走・続
この間，“新税構想”以外にも，豊島区わいは数々の独善的・反人民的愚行を行ってきたちうわけや。これらを概観し，両“新税”導入策動強行の過程自体にとどまらへんし，その背景についてもみていきまひょ。
池袋場外車券売場予定地(左)と設置反対を叫ぶ垂れ幕
区内に転入しようとしたオウム真理教(現・アーレフ)信者に続き，区当局が上からの組織化の口実に利用しとる排斥対象が池袋場外車券売場や。こないな刃が単身世帯や自転車及び利用者に向けられることになりよったちうわけや。
豊島区長・高野之夫の反動的・排他的煽情政治
古書店主から都議会議員を経て豊島区長になりよった高野之夫には，もとより特別な政策理念や指導力があったわけやあらへん。高野の政治基盤は，相乗り多数与党下で議会を押さえ，有力なライバルもあらへん無風に近い選挙によって安定を得とる。そやさかいに，区民の政治的意識の覚醒によって，自らの政治基盤を脅かされる危険が常につきまとうんや。
そやから，ときにはマスコミをも利用したパフォーマンスをも交えつつ，上からの大衆動員と組織化を，継続的に行うことに執着してんや。ほんで，区民をして盲目的に追従させるための口実を設けて，上からの組織化を謀り，その過程で人民内部に対立と相剋をもたらすちう策動を，不断に追求するっちうわけや。
オウム真理教信者転入拒否事件
やや旧いトコロでは，板橋区境に近い豊島区内のマンションに居住したろとおもたオウム真理教(現・アーレフ)信者の転入を拒否し，あまっさえ彼らが住むマンションのねきの路上へ高野自らが赴いて，近隣住民(?)とともに，彼らに罵詈雑言を浴びせかけたちうわけや。
オウム信者の転入届受理を拒否した自治体の行為については，すでに司法わいにより違法であるとの判断が下されとることは周知の通りや。やけど，かかる違法性を承知の上で，しかも単なる手続き上にとどまらへんし，その生活主体そのもんを物質的に排除するっちうことに手を染めたゆう点で，突出して犯罪的やったといわねばならへん。
池袋場外車券売場問題
続いて現在も追求されとるもんのひとつが，豊島区役所にも近い池袋駅東口ねきにつくられようとしてん池袋場外車券売場問題や。この場外車券売場は，西武園競輪・大宮競輪・川口オートレースを開催する，行田市・熊谷市・川越市・所沢市・秩父市・さいたま市・川口市が，その車券を販売するために設置したろとおもうもんや。これについては，2002(平成14)年6月に経済産業省関東経済産業局への申請が受理され，「地元住民の協力が得られれば許可する」模様で，これに対し“反対”を叫び続けとる。
公営ギャンブル自体の是非はともかく，税金で赤字補填を強いられはることも少なないほどに，全般的に厳しい経営情況にあるといわれる中で，その収益向上を求めることは，競輪を運営する自治体からしたら必然なんやし，ようけの人が集まるトコに場外車券売場をつくることは，直接的な収益向上よりまえに，公営ギャンブルに対する認知を高める上でも有効やろう。
余計なお世話やけど，競輪の収益は，地方財政に組み入れられはるほか，機械工業や公益事業振興に使われるちうわけや。かかる趣旨からしたら，利用者の目的や権利・人格をシカトし，「“放置”自転車」なるレッテルを貼り“対策”の対象と位置づけることと相容れへんばっかりか，それを利権化するっちうことと対立するもんなんや。こないな競輪の趣旨自体ととともに，自転車を利権ちう観点からとらえれば，この場外車券売場からの収益が競輪を運営する自治体のもんであって豊島区わいのもんやないことに，高野と豊島区わいが“反対”に狂奔する理由を見いだすこともできまひょ。
その是非や賛否はともかく，これらはすでに，法的には豊島区わい−高野之夫側の敗北が決定的になっており，そのリベンジとして，単身世帯や自転車をターゲットにした煽情的組織化にいっそうの執念を燃やしてんや。
その対象の違いこそあれ，自らと異なる他者・異質な存在に対する排除・排斥であるちう点において，これらは本質的に共通しとり，かかる煽動が，本質的に多様性を内包すべき市民社会を，偏狭で排他的なもんへと作りかえるのみやったらへんし，それを上から組織するっちうことが，ファッショ的なもんであることを，はっきりと確認せなならへん。
世論の操作と捏造
すでに知られとるように，両“新税”についての一般的な世論としては，賛成が反対その他の不支持を大きく上回ることはなく，賛成／反対・支持／不支持やらなんやらが拮抗したり，反対その他の不支持が賛成を上回るのが普通やった。また識者の間では，疑問視したり否定的見解をとることが多いちうわけや。そやかて，豊島区わいから流布される言説は，こないなもんとおよそかけ離れたもんやった。
奇々怪々の「区民代表」
すでに述べたように，両“新税”導入策動強行の過程において豊島区わいは，「法定外税検討会議」に加え，「あなたと区長のホットほっと区民集会」なるお手盛り集会を開いてきたちうわけや。その過程で，これに翼賛・盲従するだけやのうて，自らの口からかかるもんに支持・賛成を表明し，さらには自転車および利用者や鉄道事業者，単身世帯，住宅・建設事業者やらなんやらのターゲットを攻撃する，区わいの確信犯的尖兵となりよった「区民」をも作り出したちうわけや。関連文書にでてくる「区民代表」なるもんがそれや。当然のことながら，かかる存在は選挙で選ばれたわけでもなく，その言説は何らの民意の裏付けのあらへんもんや。
「パブリック」ではおまへん「コメント」
2003年秋，「法定外税検討会議専門委員会」から両“新税”の導入を「妥当」とする報告が出されたのをうけて豊島区わいは，両“新税”の名称をそれぞれ「狭小住戸集合住宅税」・「放置自転車等対策推進税」と改め，「パブリックコメント」なるもんを募り，お手盛り集会での発言やらとあわせてて，その「結果」が，両“新税”各々について，賛成／支持するもんが多数であるかのごとく宣伝しだしたちうわけや。
やけどその内実を用心してみれば，豊島区民が両“新税”の導入を支持したとはいえへんもんであることは明らかや。またあわせて，両“新税”の問題性と反人民性とがそこから浮かび上がってくるちうわけや。
「狭小住戸集合住宅税」（←「ワンルームマンション税」）に関するもんをみれば，あたかも区わいの代弁者のごとき言説や，ワンルームマンション住民や単身世帯に対する悪意の思いこみや偏見，排他的姿勢をあらわにしたもんも少なくなく，その一方で，同“新税”への賛否の如何にかかわらへんし，「ファミリー世帯」の定着のための意見や提言はほとんどみられへん（もっともそないな意見や提言があっても，この「パブリックコメント」がそれを述べるべく適切な場ではおまへんと判断した人が敢えて述べへんかったり，区わいにとって不都合な内容であるが故に黙殺された可能性もあるが）。ともあれ，同“新税”導入に当たって打ち出した区わいの口実が，排他的で空虚なもんであることを，裏書きしたもんであるといえまひょ。
当初あらへんかった「推進」の2文字を加え，自転車および利用者に対する挑戦的・敵対的姿勢をいっそうあらわにした「放置自転車等対策推進税」についてもやっぱり，あたかも区わいの代弁者のごとき言説が跋扈し，自転車および利用者への排他的・敵対的姿勢，さらには鉄道事業者への攻撃的態度もみられはる。さらにここでは，「撤去保管手数料」の「5,000円程度の引き上げ」を画策したり，「現在40日間」の「保管期間」を「30日間に短縮を図り、放置自転車の処分並びに再利用の円滑化にも努め」るとするやらなんやら，かかる「コメント」を利用しつつ，自転車および利用者の立場や権利をシカトし，「“放置”自転車」“対策”のもと，飽くなき利権追求に狂奔する，豊島区わいの異様な姿が際かておる。
いずれについても，その賛否の如何はともかく，理性的・合理的な「コメント」は少なく，これをもって区民が支持してんとは到底いえへんもんなんや。多様性を内包した主体的市民としての見識をもったようけの豊島区民は，かかる「パブリック」やったらぬ「パブリックコメント」の本質を見抜き，これに与みせんだけの分別と良識を備えとったちうべきやろう。
豊島区議会では
2003年4月の統一地方選挙後の豊島区議会は，定数38，自民12，民主9，公明8，共産4，無所属改革の会2，社民党1，行革110番1，生活者ネット1ちう勢力分布になりよった。この選挙では，ベテラン議員が引退したやまと共産党が議席を減らし，与党の占有率が高まった点が大きな変身といえるちうわけや。
議員の意識
所属党派の如何はおいといて，両“新税”について，問題意識をもった議員は少なく，ようけは無批判的に行政わいのなすがまんまに盲従し，あろうことにか，こうした愚民的課税権の濫用，独善的反人民的政策を「自治権を主張し、自らのまちづくりを実行した画期的な施策（全文はこちら）」などと盲目的に礼賛する者までおる始末や。中には区わいの尖兵に成り下がった者すらおったちうわけや。そないなもんの一例を紹介しよう：
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事業者、過去の区との経緯を全く語らず、いまさら「協議会を作ってもらえばそこで論議したい」．．．できることは何？ （余談：私が唸った事業者さんの印象的な言葉「．．．．．．．豊島区とJRとの過去のいきさつを詳細に承知しているわけではないので、なんとも言えないのですが．．．．．．．」？？？） ……池袋駅はメトロポリタンプラザの開発に伴った店舗顧客用の駐輪場で、放置自転車対策のためではないということが理事者の説明から明らかになりました。又、大塚駅にいたっては、数年前区が有料で敷地を借りて駐輪場としていたが、近隣にくらべ法外な高い賃料であり、それを再三下げてもらうよう交渉したが、鉄道側に聞き入れてもらえずやむなく契約を解消したという経緯が明かになりました。しかし一転、手の平を返したように昨年、豊島区新税検討会でその点が話題になったので、なんと�猝欺�提供�瓩箸い�事になり今年の1月から駐輪場として使用が再び開始になりました。なぜ早く賃料を下げる協力ができなかったのでしょうか？…… （全文はこちら） |
こら，区議会副議長をつとめる人物の言なんや。主観的には，豊島区わいが行う「“放置”自転車」“対策”に，鉄道事業者が「非協力的」であることを批判したつもりやろう。やけど客観的には，事実を歪曲し，合理的・理性的判断を欠いた，恣意的・一方的・感情的なもんであるだけやのうて，“新税”をタテにとちうのん恐喝やちうことは，こないな部分をみただけそやけど，冷静に考えればどなたはんにも解ることや。
豊島区わいの言いがかりと鉄道事業者
このくだりは，第三者的観点では，豊島区わいと鉄道事業者の言い分の食い違いが目立つ点であるといえるが，それととともに“放置”自転車“対策”における豊島区わいの独善性とデタラメぶりを端的に示すもんでもあるんや。
「協議会」とは?：問題のすり替え
ここでいう「協議会」とは何ぞ。「自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律（[改正]自転車法）」では「自転車等の駐車対策を総合的かつ計画的に推進するため」（第七条）に，「重要事項を調査審議させるため」の「自転車等駐車対策協議会」を設置するっちうことができるとしてん（第八条）。従来豊島区にはかかるもんがなかったが，豊島区わいは，駅前再開発やらなんやらのまちつくに関する既存の「協議会」をもって済ませようとしとった。
かかる脱法行為まがいのすり替えを見抜くのが簡単なことはいうまでもあらへんけど，豊島区わいは，「協議会」に先かて，“新税”をタテにとちう，鉄道事業者に屈服を強いようとしてんのや。こうしてつくられはったもんが「協議会」の名に値せんことはいうまでもへん。
駐輪場が利用されると…：みっともあらへん八つ当たり
では実際に鉄道事業者が行ったことに対して，豊島区わいは何をしてきたやろか。
池袋駅西口のメトロポリタンプラザ駐輪場は，池袋駅にもっともねき，それなりに判りやすい場所にあり，利用料金も区営駐輪場より安いことから，利用率はごっつう高いちうわけや。その一方で，駅および駅附近のショーバイ地域から離れた公園地下にある区営駐輪場は，いっそう利用率が低下してん。こないな中で豊島区わいは，メトロポリタンプラザ駐輪場の「設置根拠」がショーバイ施設に関してのもんであって鉄道事業者としてのもんではおまへんやらなんやらといったいちゃもんをつけとるのや。こらみっともない八つ当たりちうほかいないちうわけや。
また，JR大塚駅附近に関しては，たしかに同駅北側の線路沿いの空閑地が，一時期柵をめぐらせて立入でけへん状態にあったことは事実や。そやかて，それより以前も以後も駐輪場としての整備が特になされとるわけとちゃうんや。またこれより離れた急坂の上に区営駐輪場があるんや。これまた八つ当たりといえるが，こないな「無償提供」が，“放置”自転車“対策”を飽くなき利権追求の機会とする豊島区わいにとちう，無益どころか有害でもあるわけや。
「協力」とは!?：自転車利用者からの収奪強化
[改正]自転車法では，第五条2項で「…地方公共団体又は道路管理者との協力体制の整備に努めるとともに、地方公共団体又は道路管理者から同項の自転車等駐車場の設置に協力を求められたときは、その事業との調整に努め、鉄道用地の譲渡、貸付けその他の措置を講ずることにより、当該自転車等駐車場の設置に積極的に協力しなければならない。ただし、鉄道事業者が自ら旅客の利便に供するため、自転車等駐車場を設置する場合は、この限りでない」と，鉄道事業者の「協力義務」をうたっており，第七条で「自転車等の駐車対策に関する総合計画（総合計画）」において「設置協力鉄道事業者となる者と協議しなければならない」と定めとる。これらのことから解るように，豊島区わいといえども，駐輪“対策”の計画策定の内容と方法についてはもちろんのこと，その本業であるトコの鉄道事業との関係においても，鉄道事業者の立場や意見をシカトするっちうことはできなんや。すなわち[改正]自転車法に拠るとしたかて，行政わいが独断で決めたもんを，一方的に鉄道事業者に押しつけて従わせることは許されへんのや。
また鉄道事業者が自らの旅客のために自発的に設置した駐輪場については，自治体の掣肘の対象外になるちうわけや。こら，前述のメトロポリタンプラザ駐輪場をめぐって豊島区わいが東武鉄道に言いがかりをつけた理由のひとつでもあるんや。鉄道事業者からしたら，駅への交通手段の整備は，個別的・直接的収益の確保・増大を目指す上ではもちろん，総合的に顧客の確保と囲い込みを図るといったマーケティング的観点からも，自らの主体性とイニシアティヴのもとで，そのあり方を決定する権利と必要があるんや。自転車および利用者への対応もかかるトコからなされるのが自然であるといえまひょ。やけど，そないなもんは，“放置”自転車“対策”そのもんの是非および個別具体的内容の如何にかかわらへんし，自転車利用者および利用者との対立・矛盾が惹起する遙かよりどエライ昔の段階で，豊島区わいの利害と対立させられるんや。
豊島区わいとしては，かかる掣肘を突破せな，自らの利害追求を貫徹でけへんわけで，そのために“課税”を恐喝手段として突きつけとるのや。かかる“課税”が，鉄道事業者いうように，[改正]自転車法がいう「協力義務」を逸脱するもんであることや，税負担の不公平性から違法・違憲であることはもちろんやが，[改正]自転車法が要求する「協議」を，事実上黙殺するもんであるちう点でも違法やからあるんや。
では，“課税”ちう恐喝手段をも利用しつつ，豊島区わいは鉄道事業者にどないなもんを要求してんやろか。“課税”額の試算について，JR東日本で約1億円とされる一方，西武鉄道はほとんどがかからなの情報があるんや。本来やったら西武鉄道にも数千万円課税されるトコロであるが，こら豊島区わいに対して，“放置”自転車“対策”に貢献したとみなされれば税が減免されることによるもんや。もっともこないな判断の具体的規準やらなんやらはなく，豊島区わいが恣意的にいかようにもできるもんや。ここで豊島区わいは，対立する鉄道事業者の分断と切り崩しを謀ったわけや。
同社は駅周辺の駐輪場を整備したり，駐輪場用地を区に無償提供するやらなんやらしてんちう。その事実関係はともかく，たしかに豊島区内の西武池袋線の駅附近には駐輪場があるんや。やけどそら一部を除き，西武鉄道が区営駐輪場に勝るとも劣らへん利用料金を取っとるもんで，同線沿線は豊島区内でもっとも駐輪料金が高いトコとなっとるのや。
こないなトコから解るように，豊島区わいは，鉄道事業者に対して，“放置”自転車“対策”を利権追求の機会として最大限に活用し，自転車利用者からの大衆収奪強化を，自らのイニシアティヴのもとで強行する尖兵となることを強要してんや。さらには，“放置”自転車“対策”にかかるコストについては，利権をさらなるもんへと拡大させるべく青天井の浪費を続けることを追求し，その一方で，安価・タダで利用可能な駐輪場所を用意した事業者に対しては，この“課税”を，あたかも制裁金のごとく強要するゆう，敵対的・弾圧的で悪辣きわまりまへんことにも手を染めとるのや。ほんで何よりも，尊重されなあかん主体的市民であり主権者の一翼を担う自転車利用者の地位・権利が，一切シカトされとることを，はっきりと見てとらねばならへん。
両“新税”導入策動強行を弾劾する
これら両“新税”は，2002年1月に公表されるまで，豊島区わい内で2年余にわたって秘密裡に追求されてきよったんや。その後お手盛り集会やらで“世論”誘導工作を行う一方，法定外税検討会議専門委員会（会長／中村芳昭・青山学院大学教授，学識者8人で構成）に「専門的な立場」から「検討」させてきたちうわけや。2003年9月に専門委員会から「妥当」とする「報告書」が出されてからは，秋に「パブリックコメント」なるもんを募って，お手盛り集会でよせられよった言説とあわせて，あたかも区民が両“新税”を支持してんと見紛うようなキャンペーンを張りながら，区議会での審議に入ったちうわけや。
区議会では，総務委員会を経て12月10日，建設・不動産業者や鉄道事業者らからの切実な反対の声を封殺するように，本会議で自民党・公明党やらの賛成多数で可決されたちうわけや。
そないな中にあっても，「狭小住戸集合住宅税」については，やまと共産党4名，無所属改革クラブ2名，行革110番1名が反対，民主党の1名が採決時に議場から退出，「放置自転車等対策推進税」については，無所属改革クラブ2名，行革110番1名，生活ネット1名が反対，民主党2名（JR東労組が支援）が議場から退出するやらなんやら，少数ながらも（もっとも豊島区わいと区議会以外ではこっちの方が多数やろけど）この不条理にあらがい良心を貫いた者もおったちうわけや。
その後総務大臣の「同意」に向けて総務省と協議に入り，2004年3月30日「狭小住戸集合住宅税」について「同意」が出たとし，6月からの強行がもくろまれとる。一方，「放置自転車等対策推進税」については，鉄道事業者が，これを違憲・違法であるとし，他自治体からの同様の課税や他鉄道事業者への影響が深刻になることやらから，訴訟も辞さへん構えで反対の意思表明を続け，総務省・国土交通省やらなんやらに，同意せんよう求めとったこともあって，総務省は4月9日，鉄道事業者と豊島区わい関係者をよび，意見聴取を行うやら，目下，若干の慎重な対応をしてん。
※法定外目的税に関して
地方税法においては，使途制限があらへん普通税と，特定の使途に制限されとる目的税とがあり，各々に同法で定められはったもんと，それ以外に自治体独自に課税するもんとがある（「地方税の体系」参照）。後者が法定外税やけど，2000年の同法改正で，自治大臣の許可制度が廃止され，自治省（→総務省）と協議の上自治大臣（→総務大臣）の同意を必要とするもんにかわったことを受け，各地でバカげた課税が族生するっちうこととなりよったわけや。「課税自主権の尊重による地方税の充実確保」やらなんやらゆうものの実態がこれや。市町村の場合，市町村民税・市町村たばこ税・固定資産税(国有資産等所在地市町村交付金)・鉱産税・特別土地保有税・軽自動車税が法定普通税，入湯税・共同施設税・事業所税・宅地開発税・都市計画税・国民健康保険税・水利地益税が法定目的税なんやし，これ以外の普通税が法定外普通税，目的税が法定外目的税となるちうわけや。
「目的」なき目的税の挫折：「狭小住戸集合住宅税」
当初「ワンルームマンション税」は，床面積25平米以下の部屋が15戸以上，総室数の1/3以上を占める3階建以上のマンションを対象としとったが，専門委員会は，課税対象を広げて，「狭小住戸」全般に課税するっちうことが適当やとし，1戸当たり29平米以下のワンルームマンションに1戸当たり50万円を建築主に課税する「狭小住戸集合住宅税」となりよった（8戸以下のアパートについては免除）。これによって，年間3700万円の税収を見込んどるちう。またあわせて，税の性格を当初の法定外目的税から法定外普通税へと変更したちうわけや。
こないな風に，課税対象を広げることで，いっそうの大衆収奪を策す一方，法定外目的税とするっちうことについては，お手盛りの検討会議の中の「学識経験者」から異をとなえられよったわけや。
そもそも使途を特定の対象に制限されとる目的税については，その税が設定される前提として，それを財源とした支出対象が存在せなならへん。この「ワンルームマンション税」改め「狭小住戸集合住宅税」の場合は，ファミリー世帯の定着を図るとしながらも，それについての具体的政策を提起してこへんかったわけで，目的税をつくってもその使途があらへんのや。使途があらへん目的税をつくれば詐欺か恐喝でしかないちうわけや。
この点で，「“放置”自転車」の“対策”を，飽くなき利権追求の一環とする中で，さらなる利権拡大のために，それを目的対象とした「放置自転車等対策[推進]税」と，根本的に性質が異なるのなんや。
この当たり前のことにあわせて“新税”の体裁を繕うことが，検討会議で2年間審議された結果なんや。後には「豊島区にはワンルーマンションは建てられなくなってまう」ちう建築・不動産業者の悲痛な声と，課税が転嫁される購入者・賃借者への大衆収奪が生み出されることとなりよった。この課税策動の背景に，豊島区役所ねきのワンルームマンションに風俗店が入ったことへの区わい者の感情的反発があるともいわれるちうわけや。政策としての空虚性からしたらさもありなんとも思われるけど，犠牲となる人民大衆からしたらたまったもんとちゃうんや。
自転車敵視政策のエスカレート：「放置自転車等対策推進税」
当初「放置自転車等対策税」は，「“放置”自転車」および区営駐輪場を利用してん自転車1台当たり3000円ちう計画やったが，さすがに専門委員会でもこないな課税を認めんと，課税総額を区が算定し，鉄道各社の駅の乗車人員に応じて税額を割り当とるよう提案，事業者に対する税額は区の負担額から利用者が負担してん額を差し引いた額の1/2以下が妥当とし，区内の駅の初乗り客1000人に740円を基準に課税するとしたちうわけや。
こら一見，豊島区わいの意図からしたら後退したように錯覚するかもしれへんけど，当初あらへんかった「推進」の2文字が加えられ「放置自転車等対策推進税」と名称か改められよったことにも示されるように，豊島区わいの挑戦的姿勢はエスカレートしてん。
専門委員会も，「“放置”自転車」の「撤去」やら「対策」費用を区や関係者が分かち合うんは合理的やとするやら，自転車が都市交通の一手段であること，利用者が主権者の一翼を担う存在であることを一顧だにせへんし，利用者がその目的に従って利用してん自転車を一方的に「“放置”自転車」やらなんやらとレッテルを貼り，「対策」の対象にするっちうこと，さらにはこれを飽くなき利権追求の機会に利用してんことやらに，何らの疑問を抱くことなく，これを所与の前提として，こないな枠組の中で，鉄道事業者や自転車利用者をはじめとする人民大衆をいかに欺くかに腐心しただけのもんや。およそ学識経験者の名に値せんもんやといわねばならへん。以後「御用学者」とか「曲学阿世の徒」とでも名乗るがええ。
「放置自転車等対策推進税」に関する詐術と政治性は，区わいが恣意的にいかようにも課税できるもんであることに集約されまひょ。当初の課税方法でも専門委員会が示した課税方法でも，ほぼ同様に課税総額を年額2億円程度を見込んどることからも解るちうわけや。はじめに課税ありき，目標金額ありきで，その口実は後からつくるゆう姿勢が，検討会議や専門委員会の報告がどうあれ，一貫しとり，またこれが所与のもんとされとるのや。
その第2は，先にも述べたように，豊島区わいの“放置”自転車“対策”に“協力”した鉄道事業者に対して減免できるとしとる点や。実際には，利用者からの大衆収奪を強化し，一般的な“放置”自転車“対策”やのうて，豊島区わいの利権追求・拡大に“協力”したもんに対する褒美とし，一方，豊島区わいの意に反し，利用者に相対的ながらも便宜を図り，利権を縮小させるもんに対しては制裁金として機能させるもんとなっとる。
また，マスコミ報道やらなんやらを通して「豊島区わいvs鉄道事業者」との枠組でとらえられはることがようけなっとるが，かかる枠組に視野狭窄させてはならへん。ようけの人が集まる施設の中で，駐輪場設置が求められとるんは，鉄道駅だけでなく，公共施設や商業施設も同様なんや。こら，鉄道事業者がいうように，鉄道事業者だけに課税されることが，不公平・違法とする理由のひとつにもなっとるが，他の集客施設設置主体がターゲットになってへんちうことでは決してあらへん。
ときには[改正]自転車法や条例をタテにとって駐輪場の附設義務を口実とし，またこれらをも逸脱・凌駕しつつ，自転車を敵視し，これを都市景観から抹殺するまでに，自らに追随せしめるべく過剰設備の駐輪施設の設置を強要するっちうことやらなんやらを，豊島区わいはこれまでにも行ってきたちうわけや。しかもそれにあたちう，異なりよった手段を用いて，さらにはその適用方法を一律にせんことで，事業者間を分断してきたのや。「放置自転車等対策推進税」もこないなもんの一環やちうことを，はっきりと確認せなならへん。
「税」ちう手段がもつ非民主的・反人民的本質
法定外目的税自体を違憲とする学説があるんや。これが日本国憲法第八四条の「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする」に反するゆうのや。豊島区に限らず全国の自治体で法定外目的税導入策動が行われる中になちう，課税内容・趣旨，導入追求の過程で課税権の濫用ちうべきもんがようけみられはることからしたら，根本的原因としてその違憲性に行き当たるとするんも極論とはいえへんやろ。
また，税体系のあり方が民意反映のあり方をも規定するとの学説もあるんや。この点からしたら，間接税，すなわち消費税のような定率税はもちろん，また定額税ともなったらそれ以上となるトコの逆進性をもったもんが，それ自体として大衆収奪となるばっかりか，かかるもんが占める割合が高い税体系が，反人民的なもんであることからも肯けまひょ。
ほんで用心せなならへんのは，名目上の納税者が実質的な税負担者と異なることがある点や。所得税のごとき直接税やったら納税者＝負担者といえるが，間接税では商工業者が納付するもんであっても，消費者・生活者である人民に転嫁され，納税者≠負担者となることが多いちうわけや。消費税が解りやすい例といえまひょ。
豊島区わいが強行したろおもとる両“新税”についても，直接の納税者はそれぞれワンルームマンションの建築主・鉄道事業者であるが，実質的には購入/賃借者・鉄道旅客（自転車利用者に限らへん）となることはいうまでもへん。しかもかかる実質的・最終負担者には，直接の納税者以上に，この税について異議をとなえる手段と機会が奪われとるのや。
こないな非民主性・反人民性は，法制面からも指摘できるちうわけや。そのひとつを挙げるんやったらば，地方自治法第七四条で，条例の制定・改廃について住民が直接請求できることを定めとるが，これには「地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するもんを除く」ちう例外規定があるんや。すなわちこの両“新税”をはじめとする法定外税についても，ひとたび成立・施行されてしもたもんには，民意を直接突きつけてやめさせる道が断たれとるのや。
こないなことは，税が及ぼす経済的影響や徴収力といったもんにとどまらへん，税自身がもつ権力としての他にはあらへん特質を示すもんなんや。
一般に何らかの政策目標がある場合，その達成をめざすにあたちう，となあかん手段には選択肢があるんや。その手段も，キャンペーンやプロパガンダといった，それ自体として強制力をもたへんながらも一定の規制力をもつもんを用おる場合，行政指導やらのように，それを発する者の裁量が権力作用を及ぼすもんを用おる場合，法律・条例といった成文法により強制力を用おる場合やらなんやら，さまざまなんや。ここからでも法的強制力を用いるからには，その必要性と正当性を示す必要があることが解るちうわけや。
この両“新税”の場合，その政策としての妥当性はもちろん，これに対して強制力を用いる必要性も正当性も見いだし得へん。まして数ある法的強制力の中そやけど，とりわけ民意をを容易に封殺できる税ちう手段をとったことが，単に強権的であるにとどまらへんし，きわめて非民主的・反人民的なもんであることを，はっきりと確認し，かかる課税策動強行を，厳しく弾劾するんや。
(2004.5.22)
総務省による豊島区「放置自転車等対策推進税」への“同意”を弾劾する 
2004年6月，「放置自転車等対策推進税」に対して，それまで慎重な姿勢で臨んどった総務省が“同意”に向けて動き出し，9月には“同意”するにいたったちうわけや。その一方で豊島区わいは，“撤去”された「“放置”自転車」の返還料金を従来の3000円から一挙に5000円に値上げするやら，自転車敵視と大衆収奪による利権追求をいっそうエスカレートさせとる。この5000円ちう金額は，荒川区・台東区・中野区と並んで全国最高額やけど，原付の返還料金8000円は単独で全国最高額や。
すでに述べたトコロやけど，ここで今いっぺん「放置自転車等対策推進税」と豊島区わいの問題点を振り返っておきまひょ。
「“放置”自転車」“対策”自体の不当性
そもそも前提として，やまとの自治体−行政わいが行っとる「“放置”自転車」“対策”なるもんは，他の先進国では見られへん異常なもんやちうことを見落としたらあかん。交通政策の中で自転車の役割を没却しただけやのうて，多様性を内包した主体的市民にして主権者の一翼をなす自転車利用者の権利を一切シカトして，ただ対策の対象とだけ位置づけるにいたっては，言語道断の暴挙や。
豊島区わいの利権追求と煽情的ファッショ政治
豊島区わいによる「“放置”自転車」“対策”なるもんは，他の地方自治体によるそれと比較するだけでも判るように，利権増大のためわざとコストが嵩むようになされてきとって，「放置自転車等対策推進税」は，そないな独善的な浪費のための財源を確保するっちうことを策したもんやし，正当な理由があらへん。にもかかわらへんと，従来こないな“対策”の内実をめぐる議論や分析がなされてこへんかった。
これまで幾度となく，豊島区わいは，区内における多様な生活者の特定の部分に対して，排他的・敵対的感情を煽るキャンペーンをしてきやがったんや。「放置自転車等対策推進税」導入策動の過程においても，こないなもんが，情報操作やらとともに，直接的には自転車“対策”による独善的利権増大をはかるべく，なされてきたちうわけや。こないな大衆操作・煽動は，上からの組織化を図ったファッショ的なもんや。
さらにこないな豊島区わいの背後に，「“放置”自転車」の“対策”費用を，鉄道事業者に転嫁するっちうことを積年の課題のひとつとしてきた「全国自転車問題自治体連絡協議会」があることも見落としてはならへん(「「全国自転車問題自治体連絡協議会」をつぶせ」参照)。
地方自治体−行政わいによる利権追求ちう観点からは，バブル経済崩壊後，従来的なハコモノ造りを中心とした土木利権が縮小を余儀なくされる中において，ハード建設のための新たな口実としてだけやのうて，裁量次第でどないにも拡大でき，継続的・反復的にソフト面の追求も可能になる対象として，「“放置”自転車」の“対策”が位置づけられとることを指摘できるちうわけや。豊島区に限らんと，財政が厳しい情況にあっても，「“放置”自転車」の“対策”費用が突出して増加してん地方自治体−行政わいが少なからずある理由の最たるもんが，まさにここにあんねん。
これを裏書きするかのように2004年9月，豊島区わいは「財政難」を理由に外部監査制度を廃止したちうわけや。2000年4月に導入されて以来，外部監査によってなんぼかの外郭団体の無駄遣いを指摘するやらされてきたけど，「放置自転車等対策推進税」の強行により，「“放置”自転車」の“対策”のあり方を含めた区わい本体の財政について向けられよる目が厳しなることを見越して，従来のような浪費的利権追求に掣肘が加えられよることを防ぐべく行った暴挙やといわなあかん。
鉄道事業者へのダメージ
「放置自転車等対策推進税」の形式上の納税主体とされ，豊島区わいの暴政と飽くなき利権追求の直接の被害者となっとるのが鉄道事業者や。また，「豊島区わいvs鉄道事業者」との枠組でとらえられよることによって，この「放置自転車等対策推進税」がもつ問題性を矮小化させ，重要な問題が隠蔽され，その本質から人民大衆の目をそらしていくもんやちうことも忘れてはならへん。
そもそも事実上，各鉄道事業者にたいする課税額は，豊島区わいによる「“放置”自転車」“対策”への「貢献度」によって決められよるもんで，区わいに盲従し，その利権拡大に寄与するっちうことが求められよる以外のなあんものでもあらへん。
鉄道事業者をめぐる情況としては，バブル経済崩壊後の長期にわたる景気低迷のなか，少子高齢化に伴う運賃収入(とりわけ定期運賃)の漸減の一方で，安全性・輸送力やらの増強に対する要求が厳しなっとって，こないな方面の支出増大が不可避となっとる。従来やったら鉄道事業本体の収入不足を補ってきた関連事業も不振となっとるもんがようけあって，その整理に汲々としてんトコも少なない。
そないなトコに新たな支出強要が，豊島区わいによって理不尽かつ一方的になされようとしてんのや。これを鉄道利用者に転嫁するんやったらば，鉄道利用者は自らに還元されへん負担増を強いられよることになり，鉄道事業者自身が経常支出を削減して捻出するんやったらば，鉄道の安全・利便性が脅かされ，鉄道労働者の生活破壊につながるちうわけや。自転車利用者に転嫁するんやったらば，有料化・高額化された駐輪料金を強要し，豊島区わいの尖兵として大衆収奪強化に手を染めることになるちうわけや。
そんだけやのうて自転車利用者の便宜を図り，タダもしくは安価な駐輪場を提供したろとおもう事業者にたいしては，「放置自転車等対策推進税」が制裁金のごとく課されることにもなってまうのや。この場合自転車利用者の便宜を図るというても，顧客確保やら企業としての利益におうたもんちうことやけど，こないなもんすら妨害するんは，「放置自転車等対策推進税」が，企業としての主体的な本来の活動を損ねるもんであることの一端を示していまひょ。
これにたいして鉄道事業者側は，税負担の不公平性が違憲であることに加え，[改正]自転車法ををタテに，同法が定める，地方自治体−行政わいによる「“放置”自転車」“対策”への「協力義務」の範囲を逸脱するもんなんやし，両者間の「協議」の場が設けられてこへんかったとして，「訴訟も辞さへん」強い姿勢で臨んできたちうわけや。たしかに日本国憲法および[改正]自転車法に照らして鉄道事業者側の主張に正当性はあるけど，「“放置”自転車」“対策”それ自体の正当性・合理性・必然性を根本から問いただして，飽くなき利権追求にはしりよる豊島区わいの強権的・一方的姿勢を，その政治性を暴きつつ弾劾するもんやあらへんかったさかいに，駐輪場用地(豊島区わいが高額な有料駐輪場を建設し運営するためのもんや!)の提供やらを申し出るやら，豊島区わいの土俵に乗せられ，恐喝されただけで，反撃になららへんもんにとどまってしもた。
当然の反撃がでけへんかった理由は，鉄道事業者自身がすでに豊島区わいによる「“放置”自転車」“対策”を通じた利権の供与に与っとる面があるからや。なんぼ都心部で土地需要が多いトコやちうも，ずぅぇえんぶの所有地や不動産物件(鉄道用地の貸借は，通常よりも貸し主である鉄道事業者に有利な条件でなされる)を活用しきれるわけとちゃうんや。こないな遊休地を駐輪場用地として“高額”の費用で豊島区わいに借りてもろたら，それだけ収入を得ることができるちうわけや。上述の豊島区議会議員にして副議長でもある木下広の言が示唆してんのがまさにそれや。
主体としての自転車利用者の欠如
この「放置自転車等対策推進税」をはじめとする，豊島区わいによる，ひいては日本の地方自治体−行政わいにも一般化できるトコの，本質的問題を端的にいうたらば，主体としての自転車利用者の欠如にあるんや。
駐輪を含めた自転車利用は，主権者である市民が，自らの自由意志に基づき，その目的にそって移動する手段選択のひとつなんやし，他の交通手段の利用と同様なんや。それについては，交通権の観点から尊重されねばならへん。このことを出発点にせんもんやから，問題としての「“放置”自転車」がうまれるんや。
自転車の走行環境整備が進まへん一方で「“放置”自転車」“対策”が跛行的に突出する原因として，それを担う市区町村ちうた地方自治体−行政わいに主要道路の管理権があらへんことを指摘する向きもあるけど，こら副次的問題なんや。こないな副次的問題の枠内に収斂するんやったらば，国・都道府県・市区町村の各レベル間の利権争奪にしかなりまへん。もっとも市区町村から“放置”自転車」“対策”に関する権限を取り上げるなり縮小するなりするんやったら，今回の豊島区による一連の横暴や，その背後にありやがる「全国自転車問題自治体連絡協議会」の蠢動を抑えることができまひょ。
ともあれ，問題解決の王道は，主体としての自転車利用者を尊重し，それを出発点とするっちうこと以外におまへん。
総務省の責任を糺し“同意”を弾劾する
自治体が定める法定外税の実施には総務省の同意が必要であるが，その総務省においても豊島区の課税策動にたいしては慎重な姿勢をとってきたちうわけや。もっともそれには，地方税法改正に当たって予想されたやろう範囲を超えた想定外のむちゃくちゃな課税権の濫用に，法的制約や行政指導が追いつかへんかった面が少なからずありまひょ。
ともあれ通常やったら3ヶ月ほどで「同意」決定が出されるのが普通であるなかで，総務省は，「狭小住戸集合住宅税(ワンルームマンション税)」についても一定程度そうやったといえるけど，「放置自転車等対策推進税」についてはそれ以上に慎重な取り扱いをしとった。
課税の同意/不同意を決定するにあたちう，課税者となる地方自治体と，納税者の双方おのおんから聴取をするんが通常ちうけど，「放置自転車等対策推進税」については，双方をいっぺんに，しかも公開の場でヒアリングを行う(4月9日)ちう，異例の形をとったちうわけや。そやかてこないな場も，双方の主張の隔たりが大きいことを確認するにとどまって，若干の矛盾点を指摘したもんの，問題を掘り下げての議論はほとんどなさられへんかったといえまひょ。
麻生太郎総務大臣(当時)が，「“放置”自転車」“対策”を税でやることに率直な疑問の声を発しはっと伝えられはるほかにも，総務省・国土交通省やらの中央行政官庁の大臣や官僚，与野党国会議員やらの国政レヴェルでは，当然のことながら「放置自転車等対策推進税」にたいして批判的な空気が強かったちうわけや。にもかかわらへんと，早期の判断を強要する豊島区側に押し切られよるように，鉄道事業者との協議の継続を求める「要請」を行う(5月26日付，そないなこと自体も「異例」とされとるけど)ちう形で，自らの判断責任についてお茶を濁しながら，2004年9月13日，総務省は“同意”したちうわけや。
ここに改めて豊島区と総務省を弾劾をするとともに，単にこの問題にとどまらへんと，法定外税自体についても，独自の施策を口実とした地方自治体−行政わいの不条理な利権追求をはじめとした独善的暴走を許すことにつながっとるるもんやちうことから，総務省に対しては，この“同意”が許されんもんやちうことはもちろん，それだけやのうて地方自治体−行政わいの暴走を阻止する責務があることを自覚し，中央と地方の間に健全なcheck and balanceの関係を構築する努力を求めるもんや。
廃止・撤回はアタリマエ
2006年2月22日，豊島区わいが「放置自転車等対策推進税」の廃止を示唆したとする報道があったちうわけや。もちろんこないなもんが一刻もはよ廃止・撤回されることに越したことはあらへん。やけど，どない廃止・撤回に至らしめるかが問題やといわねばならへん。
豊島区わいは，「放置自転車等対策推進税」にたいする総務大臣の“同意”を得てからはもちろん，それより昔の総務省における公開ヒアリング(2004年4月9日)や，麻生太郎総務大臣が鉄道事業者と「協議」を求めとった(2004年5月26日付)段階から，一方では“同意”判断を先延ばしする総務省に怒りをぶつけながら，税を盾にとり，これを喉元に突きつける形で，その違法性・違憲性を争う構えを示してきたJR東日本・西武鉄道・東武鉄道・東京地下鉄(東京メトロ，←帝都高速度交通営団)・東京都交通局の5鉄道事業者にたいし，「“放置”自転車」“対策”への「協力」を強要してきたちうわけや。その「協力」ちうんはどないなもんやろか。
鉄道事業者が強要された「協力」
その前にちびっと確認しておきまひょ。上述の通り，地方自治体−行政わいが「“放置”自転車」“対策”を行う上で“根拠”となっとるのが「自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律（[改正]自転車法）」やけど，この条文を素直に読んだだけそやけど，豊島区わいが同法を逸脱してんことと，鉄道事業者側の主張jの正当性は明らかやろ。
日本の地方自治体−行政わいがやっとる「“放置”自転車」“対策”なるもんが世界でも類例をみいひん異常なもんやちうことは今更繰り返すまでもあらへんやろ。もしそれが正当性のあるもんやとしたかて，[改正]自転車法に拠る限り，地方自治体−行政わいは，鉄道事業者に「協力」を求めることはできるけど，両者の「協議」が求められとるさかい，その“対策”の内実を一方的に決めて押しつけることはでけへんのや。
ほんで「“放置”自転車」“対策”のための「協議会」の設置が求められとるわけやけど，豊島区では従来そないなもんがあらへんと，ここに及んで，恐喝まがいの方法で，区側ベースで一方的に進められよる土壌を作った上で，これを設置したのや。爾来鉄道事業者は，駐輪場用地の提供を申し出るやら，豊島区わいの「“放置”自転車」“対策”への「協力」ぶりを示すことに汲々とするにいたったちうわけや。
豊島区わいと鉄道事業者の関係については，直接的には加害者と被害者といえるが，決してそないな風に割り切れるもんとちゃうんや。とりわけ肝腎の自転車利用者との関係でいうたら，鉄道事業者は，豊島区わいの利権追求のためになされる「“放置”自転車」“対策”に加担し，その利益の一環を供与されてきたさかい，共犯関係にあったともいえることを見落としてはならへん。
この駐輪場用地の提供ゆうものも，企業としての鉄道事業者が，企業としての利害に基づいて自ら駐輪場を建設・運営するんやのうて，豊島区わいに利権追求のフリーハンドとなる機会と手段を与えるもんに他ならへん。
肝腎なことは?
そないななかで，2006年2月22日，豊島区わいが「放置自転車等対策推進税」について，廃止を初めて示唆したとする報道があったちうわけや。区長・高野之夫が区議会の答弁で，駐輪場用地の提供やら「鉄道事業者の協力提案を高く評価」するとして「税条例の廃止も選択肢だ」と述べるやら，これまで強硬姿勢やった「放置自転車等対策推進税」を廃止するっちうことを初めて示唆したとするもんや。鉄道事業者からのカツ上げに成功した「勝利宣言」のつもりやろうか。
具体的時期については，の「総合計画」が策定される6月をめどにする模様やけど，この「総合計画」なるもんについても用心せなならへん。
市区町村といった地方自治体−行政わいが「“放置”自転車」“対策”を行うにあたちうのん「錦の御旗」となっとるのがこれやけど，条例のように議会の支持を要求されるもんやのうて，行政わいが一方的に定めることができ，その策定自体はもちろん内容についても，議会・住民・国やらといった外部のチェックや掣肘を受けることのあらへんもんや。
それより前に，主要道路の管理権を持たへん市区町村といった地方自治体−行政わいが“放置”自転車」“対策”を行うこと自体が，これを跛行的にエスカレートせしめるだけやのうて，道路整備や交通政策を進める上で障害となっとることも忘れたらあかん。
実際，「“放置”自転車」“対策”に熱心な地方自治体−行政わいでは，「総合計画」の策定をすでに行っており，その前提として要求される，“対策”事業関係者(鉄道事業者，商業施設運営者や「住民」やら)との「協議」をも，自らと異なる存在への排他的・敵対的感情を煽動し，上からの組織化の機会・手段として活用してん。当然こないなもんに自転車利用者が入るはずはなく，「“放置”自転車」“対策”それ自体が排他的なもんであるだけやのうて，ファッショ的色彩すら帯びるんや。
豊島区わいの「“放置”自転車」“対策”に関していうたら，従来こないな「協議」すら行うことなく，ここにきて恐喝的手段で「協議」の体裁をとり繕ったわけやけど，独善的かつ一方的に，自らの利権追求に突き進んできたことの異常性が，この点だけでもまたいっそうハッキリするやろう。
報道ではこれを，豊島区わいと鉄道事業者の間での「痛み分け」と評してん。利権追求の一面に関してはそれも間違いとちゃう。やけどこないな観点から評するっちうことは，この問題の本質を見落とさせるもんや。
直接的には，豊島区わいによる「“放置”自転車」“対策”とそれを通じた利権追求の異常性に端を発したもんやけど，その異常性が突出した一現象形態としての「放置自転車等対策推進税」を廃止したらほんでええちうことでは断じてあらへん。
「放置自転車等対策推進税」を強行したろとおもた豊島区わい，これに“同意”した総務省を弾劾せなならへんことはもちろんやけど，それを通じて根本的・本質的問題を明らかにして，積年の謬を糺すもんやないとあかん。
そもそも，市区町村といった地方自治体−行政わいが「“放置”自転車」“対策”を行うことによって，上からの組織化や利権追求の機会・手段となっとること，国や都道府県が行う道路・交通政策と矛盾・対立し後退させとること，そないなもんが，やまとの自転車利用環境を，欧米先進国とは比べもんにならへん低水準かつ異常なもんへとおとしめとることをハッキリと認識し，これを根底からつくりかえることが不可欠なんやし，こないな展望のもとでその一環としたらなあかん。
何より重要にして，根本的・本質的なことは，自転車利用者が，主権者にして生活主体であり自らの精神の主人である主体的市民の一翼をなす存在であるちう点で，他のいかいなる存在とも引けをとるもんやのうて，またとってはならへんもんなんやし，こないな尊厳を持った存在が，自由意志による移動ちう合目的的行動の所産として，自転車を利用してんちうことなんや。
市民としての自転車利用者の尊厳の回復と確立こそ，わてらが目指すべき目標やし，取り組むべき課題や。
(2006.2.27)
参考
附記
「全国自転車問題自治体連絡協議会」の蠢動を許すな！
豊島区の課税策動は，「“放置”自転車」の“対策”費用を，鉄道事業者に転嫁することを積年の課題のひとつとしてきよった「全国自転車問題自治体連絡協議会」のバックアップのもと進められとる。これについては「「全国自転車問題自治体連絡協議会」をつぶせ」を参照したってや。
豊島区の自転車政策を斬る！
豊島区がこれまでしてきやがった自転車政策が，行政当局者の自転車利用者無視・自転車敵視の姿勢と，「対策」を口実にした土木利権の異常なまでの追求に貫かれたものやちうことについては，「豊島区がしやがること」を参照したってや。
国土交通省「まちづくりと自転車を考えるホームページ」を斬る！
豊島区及びそれと隣接する板橋区にわたる自転車道路計画は，国土交通省（旧・建設省）の「まちづくりと自転車を考えるホームページ」で「モデル都市 8 板橋区・豊島区（東京都）」として紹介されとる。また区自身が「板橋区・豊島区 自転車利用環境整備基本計画 ―概要版―」でアホぬかしとるにいたっては，もうあいた口がふさがりませんわ。「モデル都市」ちうもっともらしい名前が付いとっても，その実は真に自転車利用者のためやあらへんちうことについては，「ＴＶ番組「金曜フォーラム」でちょっとおかしなこと言うてたで」を参照したってや。
